お値打ち自転車の見分け方 その1


★高い安いの判断基準〜価格表示の難しさ。


 “同じ”商品なら少しでも安い買い物がしたいと思いますよね。いまやネットで何でも買える時代。店が遠いとか、店員が無愛想とか、そんなことお構い無しに安い処を探します。どこよりも安いところを見つけて“ラッキー!!”・・・と思う前に、ちょっと待ってください。自転車は家電やカメラなどと違って、少し特殊な流通形態となっていて、“販売店によって同じ商品が同じ品質ではない”のをご存知ですか。安さの裏にある自転車の価格の意味するものを知っていますか。実際に自転車を購入した時に支払う金額の内訳を正確に把握していますか。


■■■■@メーカー希望小売価格
    (別名:自転車本体価格またはいわゆる定価)
 この数字に関しては、どこの業界でも同じかと思いますが、あまり意味がありません。正直な数字を示しているメーカーもある事はあるのだが。始めから5割引を想定して、わざと割高な数字を表示したり。同一商品なのに、異業態向けにプライスカードが何種類もあったり。定価から何割引などとわかりにくいことはやめて、いっそのことすべてオープンプライスにしたほうが良いのかもしれません。定価ではなく店頭価格(実売価格)3万円の商品が本当に3万円の価値があるのかどうか。他の機種や他のメーカーと比較して、割高なのか、お値打ちなのか。消費者の目利きが試されるところです。知識と経験が必要なところですが、ここは自転車屋の出番です。あなたの自転車選びのブレーンとして、お気軽に『BikinG』にご相談下さい。メリットだけお知らせしての強引なセールスはいたしておりません。(ご予算にも限りのある話かと思いますので)デメリットやリスクもお話ししたうえで、あなたにピッタリの自転車を選びましょう。

■■■■A消費税
    (今のところ5%ですが、・・・。)
 これが、価格に対して別途計上されることは、ご理解いただけていると思います。ただ、賛否は別として、集めたからには有効に活用してもらいたいところです。

■■■■B組み立て賃
    (納車前整備作業料金または“事実上の組み立てやり直し”代金)
 これは初耳の方が多いと思います。これが、現在の自転車業界特有のものです。
 家電やカメラは、設置や初期設定は別として、製品そのものは、メーカーの工場で完全組み立ての上で出荷されてきます。ところが自転車は、メーカーの工場では完成品にはなっていません。 『7分組み』と呼ばれる半完成品の状態で、人間が一人で何とか運べる大きさのダンボール箱に小さくまとめて出荷されてきます。そして、各小売店で最終的な組み立て、点検整備を施して、お客様のもとに届くわけです。
 このシステムの理由として、一つは流通コストの面があります。もし、メーカーで自転車を最終的な形にしてしまえば、これは非常に不安定で、かさばる荷物となります。破損の心配をすれば、ビデオデッキ並みに発泡スチロールの型に納めて、さらに木枠ででも囲めば安心なのですが、とてつもなくかさばる荷物となり、運送業者から見れば厄介者で、当然輸送料金に反映され、最終的には小売価格に影響します。
 二つめは、輸送中の振動等による調整のズレまたは破損は起こりうることが前提になっていて、いずれにしても再調整が必要だということです。キズさえ付かなければ良いといったグルグル巻の梱包ではダメなのです。この点ではメーカー側も甘えている側面があり、組み付けはでたらめでも、とりあえず形にしただけの『7分組み』で出荷しておいて、結局小売店で始めから組み立てをやり直すことになります。“7分目”まで組み立て完了しているから残り30%の作業をすれば完成・・・ではなく、すでに組み付けてある部分も含めて作業をやり直さなければ、でたらめな自転車となります。
 ある意味で、メーカーは組み立てラインの最終工程を小売店に委託しているとも言えるのですが、不具合がみつかれば、この段階で修正を加え、また根本的な不良品は除かれるのです。メーカーと小売店はそういう契約を交わして取引しています。ただ、この最終工程は明確な規定、基準があるわけでなく、いわば小売店の腕前と裁量に関わってきます。自転車組み立て整備士・自転車安全整備士といった制度もありますがこれに合格しただけではとても十分とはいえません(もちろん私も持っているライセンスですが)。当店では、この点でお客様に120%の満足をしていただけるように、手間を惜しまず、時間を惜しまず、日夜作業に取り組んでいます。
 ・・・ところで小売店が短期的に収益を上げるには、ここが手抜きのポイントかもしれません。車輪のバランスや変速の操作精度など、検査基準をもっと下げれば作業は簡単に済みます。大型店のように数をこなすにはやむを得ないのかもしれませんが、当店では時間に追われる作業が正義とは考えていません。マニュアルに無いような不具合でも、見つけて対策を講じます。後々調子が狂いにくいようにさまざまな細工をします。もちろん例え時間をかけても技術不足の小売店では良い自転車はできません。日々勉強でもあります。また、腕の良いメカニックでも、手を抜いて妥協した作業の自転車にはお金を払う価値はありません。納車後にお客様からお褒めの一言をいただく為にも、信用を裏切らない為にも。これは、お買い物用自転車でも、レース用マウンテンバイクでも同様に大切なことと考えます。
 
 ところが、この作業の料金に関しては、見た事も聞いた事もありませんよね。
 タブーのように論議されることはありませんが、小売店が“サービス残業”のように負担しているのが実情です。ダイワ精工は良くわかっている企業で、SPECIALIZEDのカタログの最終ページの細かい注意書きを読んでみてください。「組立賃」は「消費税」などと同様に「メーカー希望小売価格」には含まれない、とはっきり明記されています。このように本来は別に請求できるものなのだが、実売価格では値引きの中に吸収、相殺されてしまっているのが現状です。
 もし、社販なり並行輸入なりでたまたま入手した『7分組み』を持ち込まれて、当方に最終組み立てのご依頼をいただいた場合、3〜4万以上を作業代金として請求させていただくことになります。当店では、その金額に見合うそれほど手間ひまかけた作業をしているのです。(ただ、万一不良品など発覚しても持ち込まれた方の自己責任となり、リスクのある話で、お薦めはしません)

 そんなわけで、販売店によって、組み立て品質が違ってくるのですが、当店ではこの点で最高水準を目指していきたいと考えます。同一メーカーの、同一モデルであったとしても、組み立ての良し悪しによってその本来の性能が得られないわけです。さらにそのため後々修理やメンテナンスの費用が余計に必要となれば、寿命も短くなってしまったとすれば、安い実売価格の買い物もかえって高いものとなってしまいます。(実際によくある話はこちら。)実売価格の中には、「組立賃」も含まれているのです。それこそ当店の実売価格が高いとも限りませんし。店頭にてお気軽にお尋ね下さい。[その2につづく。]

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