ロード・レーサーとロード・バイクと
自転車の種類がたくさん増えて、自転車遊びも多様になって、それぞれのカテゴリーやジャンルを表現する言葉も混乱しているところがあります。最近、「ロード・バイク」という呼び名が、日本でも一般的になってきましたが、昔からスポーツ自転車に携わっている方たちには違和感があるかもしれません。店頭でご商談させていただいている時にも、説明を加えないと意味が通じていないことが間々あります。言葉は生き物のように変化していくものですが、2004年版『BikinG』の見解です。
「マウンテンバイク」が一般的になる以前、ほとんどすべての自転車は“舗装路”で使用することが前提だったはずです。その意味ですべてが「ロード・バイク」なわけで、そんな言葉でわざわざ区別する必要は無かったものと思われます。(もっと大昔、道路の舗装率が低かった頃はその区別すら意味が無かったのでしょうが。)
すべてが「ロード・バイク」だった30年程以上前には、その中での区分けとして、「ロードレーサー」「ランドナー」「スポルティーフ」「キャンピング」「パスハンター」などありました。今では死語になっているものもありますね。この中で、確実に現在まで生き残っているのが「ロードレーサー」です。それこそ本場ヨーロッパではサッカーと2分する人気スポーツで、日本でも『ツール・ド・フランス』などでお馴染みとなりつつあります。自動車でいえばF-1のようなもので、究極の競技機材としての自転車である「ロードレーサー」でありますが、体のサイズや体力スキルなどに合わせてきちんとセッティングされたものであれば、素人の方でも充分乗りこなして楽しんでいただけるものです。それこそ、琵琶湖一周を1日で走破するなど、長い距離を速く確実に完走するには、スタミナが劣る方にこそ「ロードレーサー」が楽で、有利なはずです。マウンテンバイクにスリックタイヤなどで舗装路向けの小手先のセッティングでは、やはりハンディがあります。ちょっとした慣れとコツで、誰もがレーサーになれる自転車が「ロードレーサー」なのです。人間エンジンの出力を究極に効率よく引き出す性能に特化したのが「ロードレーサー」なのです。
さて、その性能において「ロードレーサー」未満のものも含めて、すべての舗装路向けスポーツ自転車を「ロード・バイク」と呼ぶこととしましょう。その中でもロード競技にも使用できるレベルまで性能を高めたものを「ロードレーサー」と呼びましょう。「スピード・バイク」「クロス・バイク」「シクロクロス」など、「ロードレーサー」に近くとも他方面に特徴を持つ自転車もありますが、走行性能は中途半端なこともあります。競技に参加するつもりが無い方にも、それに準じた走りがしたいのなら、やはり本格的な「ロードレーサー」をお薦めします。ただし、トップレベルのプロ選手が使用しているマシンが、そのままあなたに合うはずがありません。強い前傾姿勢のポジションや、重いギヤ比は、鍛えられた肉体だからこそ意味があるのです。普通の人には、かえって疲れる自転車ともなりかねません。あなたの現状の体力スキルにおいて最良のセッティングがあるはずです。究極を目指した機材だからこそ、ちょっとした違いが走りに表れます。「ロードレーサー」だからこそ、機材選びには細心の注意が必要です。ぜひ納得のいくまでご相談下さい。自転車屋『 BikinG 』がお手伝いします。
さて、中途半端と断言したばかりですが、だからこそ都合が良い「ロード・バイク」もあります。単純にタイヤの違いで比較すれば、「ロードレーサー」の細すぎるタイヤは、ほんの小さな路面のギャップにハンドルを取られやすいなど不安定で滑りやすく、また乗り心地が悪いといったマイナス面もあります。(それを差し引いても余りある軽い走行性能があるから存在意義があるのですが。) 「クロス・バイク」や「シクロクロス」などでは、お買い物用自転車に迫る太めのタイヤが使用できるので、これらマイナス面を補うことが出来ます。(デメリットとして太くなるほど走行感も重くなりますが。) それこそ、本格的な「ロードレーサー」はフレームの構造上物理的に太いタイヤは装着不能だったりします。路面のちょっとした段差に神経を使って走るより、リラックスしてまわりの景色を楽しみながら走るには「ロードレーサー」未満の「ロード・バイク」の方が適していることもあります。
より太いタイヤで、ゆったりのんびり、もしくは路面の段差も気にせずガンガン行きたい方は、残念ながら「ロードレーサー」規格“WOもしくはクリンチャー”“700C”ホイールでは限界もあります。お買い物用自転車よりも太いタイヤが必要な乗り方を要求される場合は、「マウンテンバイク」規格“HE”“26インチ”で、舗装路向けタイヤを選択することがベターです。「マウンテンバイク」の規格とはいえ、細めを希望するならお買い物用自転車よりもさらに細く、「ロードレーサー」に迫る細いものもあります。それでいて太い方は、一般の「マウンテンバイク」以上に太い舗装路向けタイヤもあります。太さの上では、かなり幅広いバリエーションの中から選択が可能です。「マウンテンバイク」本来のオフロード向け、またオンオフ兼用のタイヤも含めればさらに多くのチョイスが可能です。
例えば、“通勤・通学”といった用途であっても、より長い距離を早く移動したいのなら「ロードレーサー」が有利です。ただ、交通量が少なく車道の真ん中を走ることが出来るか、広く整備された路肩があるか、広く段差の無い歩道があることが理想です。理想が得られない場合は、状況に応じて少し太めのタイヤの「ロード・バイク」、さらに路面条件が厳しいのなら舗装路用タイヤの「マウンテンバイク」を選ぶとよいです。距離や時間が短くなるほど「マウンテンバイク」のハンディも小さく気にならないはずです。もちろんダートでの山越えを含んだうらやましいコースなら「マウンテンバイク」や「シクロクロス」そのままでもよいかもしれません。扶桑から多治見に通勤を考えている方へ、ぜひ実現してください。毎日がマウンテンバイク遊びですものね。うらやましい。「ロードレーサー」にはまねの出来ないことです。
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